床暖房とは、いったいどんな暖房のことですか？

床暖房はその名のとおり床面からの熱によって、人の体を温める方式の暖房。もう少し詳しくえば、赤外線の輻射(放射)熱による輻射熱方式というものですが、床の下地部分にヒーターまたは温水パイプを埋め込み、そこから発せられる熱が床の表面に伝わり、足元を暖めながら部屋全体をやさしく暖房するしくみと構造になっています。

他の暖房に比べて、床暖房が特に快適なのはどうしてですか？

それは、輻射熱が人間の身体にいちばんやさしくやわらかに感じられるからです。例えば、冬の縁側のぽかぽかした暖かさを思い出していただければ理解してもらえましょうか。気持ちのいい小春日和のぬくもり！一方、床暖房が足元から暖めることも重要なポイントです。人体でもっとも寒さに敏感なのが、くるぶしから足の裏までの部分。昔から”頭寒足熱”を理想の暖房としてきたのもこの理由からですが、床暖房はまさしくこれに合致し、他の暖房形式はその逆になりがちなのです。

足下があったかいという点ではホットカーペットと同じなのではないですか？

ホットカーペットは、暖かいものに直接からだを触れることで熱を伝える”熱伝導”という暖房方式で、湯たんぽと同じ原理のもの。発熱体(ホットカーペット)に触れている時だけ暖かいのです。その点、床暖房は床から遠赤外線を放射させて、皮膚の奥の”温点”を刺激し、人の身体に直接熱エネルギを供給して暖める輻射熱方式なので、身体の芯までポカポカと温まるのです。

床暖房は、快適さだけでなく身体によいのはなぜですか？

実際の温度計が示す温度より寒く感じたり、暑く感じたりする温度のことを体感温度と呼びますが、気温１７度程度で足元が感じる暖かさは、顔付近の２２度に相当するといわれています。床暖房の場合、足元からマイルドに暖める”頭寒足熱”の方式であるため、底冷え感や顔がほてってのぼせることがありません。頭がのぼせた状態で急に寒いところに移ったりすると脳卒中や心臓マヒの心配がありますが、”頭寒足熱”の暖房なら大丈夫。また対流方式の暖房機のようにホコリやチリを舞い上がらせることもありません。

快適で健康的、それ以外にもメリットは多そうだけど。

まず住まいづくりを平面的にみれば、部屋のインテリアを自由に構成できること。床暖房は床の下地に設置されるため、床面のフルスペースが活用可能。つまり家具などを置くのに何の制約もなく、自由なレイアウトができるのです。次に空間的にみれば、吹き抜けなどの自由な空間作りにも対応できること。空間のプランは住まいの個性に不可欠ですが、通常の暖房では暖気が天井まで上昇してしまい、暖房効率が著しく悪いというネックがありました。その点、床面から暖める床暖房なら吹き抜けのような天井の高い空間でも、温度ムラをつくらず、快適な暖房状態を保つことが出来ます。

床暖房の床には家具は置かないほうがいいと聞きましたが本当ですか？

荷重には耐えられるよう施工するので、ベッドやタンスなどの重い家具でも大丈夫です。ただし、ベタ置きの家具は床との接触部分に熱がこもりやすくなります。施工の前に重い家具やピアノ、テレビなどの置き場所を指定して床暖房を敷かないようにするか、５センチほど床から上がった家具を選ぶといいでしょう。

パネル敷設面積はどの位が良いか教えてください。

床暖房の快適さは、主暖房にあります。空気暖房が不快であるために床暖房を設置するわけですから、エアコン等を併用しての使い方は快適さも半減します。部屋面積の６０％以下の敷設では補助暖房を使用することになりますので不満を感じることになります。８０％程度の敷設面積でパネルを設置することが満足感を得られるキーポイントになりますのでぜひ守ってほしい条件です。

床暖房が暖まるまでに相当に時間がかかるそうですが・・・？

暖房の方式や設備の構造上、床温を１０℃上昇させるのに約３０分の時間が必要。もし、これを待つとしたら相当の時間ですが、タイマー付コントローラーの活用でこの問題は解決できます。例えば、起床する１時間前に暖房が作動するようにセットしておけば、どんなに寒い朝でも快適そのもの。また帰宅時間に合わせてセットしておけば、家についたときには暖かい状態になっているというわけです。一方、スイッチオンしてから部屋が暖まるまでに時間がかかる特性は、逆にスイッチを切ってから長く暖かい状態が保てる長所も生み出します。じっくり暖め、ゆっくり冷める。就寝前にスイッチを切って、残った暖気でぐっすり眠る・・・そんなうれしい効果も床暖房ならではのメリットです。

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